実例
人材開発実例 次世代リーダー育成プロジェクト
●概要
A社では、管理職の退職等の課題から、若手リーダーの養成を人材開発の重要課題としていたにもかかわらず、該当者となるリーダー候補の主体性が低く、その育成に困難を極めていた。ヒアリングや調査の結果、若手には『経験の機会と学習』『リーダーシップの発揮を通じた自己基盤強化』が課題として浮上した。同時に、新たな価値観やアイデアに懐疑的な経営層の課題、チャレンジに難色を示す組織風土も明らかとなった。
●課題
- 競合の追随が激しく新たな戦略を考えるものの、成果を実感するまで至らない
- 若手リーダーが育たない
- 現場の社員の士気が低下している
- 管理職層と若手との間に、心理的な溝がある
● 主な支援項目
- 現状分析とコンサルティング
- 全社的キックオフイベントの実施
- 若手リーダー候補の選出
- 若手リーダー候補者向けトレーニング
- プロジェクトの設置とモニタリング
- 経営者向けトレーニング 等
● トップダウンで集められた若手リーダー候補たち
調査の結果をもとに、次世代リーダー養成に向けたプログラムを若手リーダー候補の社員を中心に、全社を巻き込む形式で、将来を見据えた経営課題に取組むプロジェクトを設置。活動を通し、若手の能力開発とエンパワー実現し、かつ、役員層もソフトリーダーシップの重要性を体感し、若手社員がリーダーシップを発揮する組織基盤構築を目ざした。
これまで自分の担当の仕事においては、高い成果を出していたメンバーたちであったが、経営課題という全社的な視野で組織を考えていく経験はあまり無く、当初は、自分の部署や職場に偏った意見が見られた。また、問題解決等の思考力のスキルに関しても、バラつきが見られたが、導入トレーニング等を経て、徐々に、変化が見られた。
自己の成長と組織の成長を重ねるプロジェクト
〜若手の成長に、現役員層の行動や心理に変化が〜
プロジェクトのリーダーとして活動をする若手社員は、そのプロセスを通じ、リーダーとして必要とされる対人影響力や問題解決能力を獲得するとともに、自分のパーソナリティを活かしたリーダーシップスタイルを体得した。また、部門横断で結成された3つのプロジェクトのメンバーの交流は、部門間の壁を排除することにつながり、一体感を生み、相互作用が生まれ、内向きであった若手社員の意欲を向上させた。同時に、プロジェクトを通し、若手社員と役員間の対話(ダイアローグ)の機会が、互いの価値観の受容とエンパワーに向けての信頼関係を生みだした。事実、役員の一人から、『若手は我々に批判的であると思っていたが、彼らの活動を通じ、組織や顧客に対する熱い思いは共通であることが理解できた。彼らの意欲や能力は組織の成長の源泉であると改めて痛感した』とのコメントがあった。
約1年間の活動の結果は、成果として全社にプレゼンテーションを行い、彼らの活動から生まれたアイデアの一部は、新規事業として次年度の経営計画に加えられた。また、プロジェクト活動が行われた次年度には、前年度からの経営指標の伸び率が、設立以来最大であったことの報告を受け、経営に好循環をもたらしている。